版画とはもとになる作品の版を作成し、その版により、同じ作品を複数枚作成するものである。版の素材には様々なものがあり、代表的なものは日本の浮世絵の作成に使われた木版画である。この他に下記の通り様々な技法がある。
右の作品は創作版画の草分け的存在である山本鼎の代表作
「漁夫」である。日本における現代版画はここから始まったと言える。
版画技法の種類
銅板画
ドライポイント=よく磨かれた銅板に鋼鉄針やダイヤモンド針で直接版に描く最も簡単な技法であるが、刃が滑ってしまうため、熟練を要する技法である。描いた線の両側や片側にめくれが出来るため、紙に刷ったとき引っかかって思わぬ効果を得ることが出来るが、15枚程度しか刷れない。このため、メッキをほどこして堅牢にしている。
エッチング=松脂と蝋の混合物で作った酸に犯されにくいニスを銅板の版面に塗り、鉄筆で刻描して絵を描く。これを硝酸液に侵すと、鉄筆で描かれた銅の部分が腐食し、侵す液の濃度や温度、時間の長短により線の太細、強弱を得ることが出来る。
メゾチント=銅板の表面全体に櫛歯状の彫刻刀(ロッカー)で、縦、横、斜めの無数の線を作るとビロードのような感触の深い黒色バックが出来る。その版面をスクレーパーで削って明るい部分を作り、バーニッシャーでならすと白い図形が浮かび上がってくる。
アクアチント=松脂や砂糖の粉末を銅板上に散布して熱すると多孔質の砂目の美しい版面ができる。版面をザラザラにするため、紙やすりや硫黄の粉末を散布することもある。
木版画
板目木版=浮世絵に代表される技法で、桜、桂、椿等の木を木目に対して水平に引き割った板を版にして絵を彫る。次にその版面に絵の具を塗り、紙を乗せて上から「ばれん」でこすって完成する。多色刷りでは色の数だけ版を作り、版毎に色をつけてゆく
木口木版=つげや椿などの幹を輪切りにして寄木した面に絵を彫る。輪切りにした面は硬いため,同じ木版であっても板目木版に比較して緻密な線の出来上がりになる。
リトグラフ(石版)
油が水をはじく原理を用いた技法で、石灰石に油性の解墨、鉛筆、チョーク、クレヨン等で絵を描く。次に、その上から滑石粉末を散布し、更に少量の硝酸を加えたアラビアゴムの液を塗る。絵を描いた部分にはインクが付着し、描いていない部分は水を吸収してインクをはじくようになる。石灰石の変わりに、亜鉛板やアルミ板を使って大きい作品を制作することもある。
シルクスクリーン(セリグラフ)
絹や合成繊維のスクリーンを枠に張り、絵柄以外の部分を何らかの方法で目止めし、インキが通らないようにする。スクリーン上にインキをのせ、スキージ(幅広いヘラ状のウレタン板)で圧力を加えながら平行にインキをひいていくと、網目を通してインキが紙に刷り込まれる。インキが厚く刷られ、明確な色彩表現のできる点が特徴である。
リノリウムカット
リノリウムというゴム板を彫って描く方法で、彫に抵抗が少なく柔らかい彫味を出すのに最適な方法である。扱いやすいため、板目木版とともに、学校の図工の授業で最も多く使われている素材である。、
モノタイプ
複数刷れることが版画の特徴であるが、手法によっては一点かせいぜい2-3点しか刷れないものもあり、そういう作品をモノタイプという。少ない部数の作品を制作する理由と方法は様々だが、例えば、金属板に直描きして、そこに紙を乗せ転写するという方法は、一回性ということに作者がこだわっているときに行われる。
版画専門学校の教授であると共に相模原市主催のあじさい教室で版画講師を務める人格者である。作風は半抽象でウイットに富んだモチーフが多い。 従来のオレンジ主体の色彩から紫やグリーンを配したモダンな色彩に変化している。
先天的という意味合いの哲学用語「A Priori」と日本語で永遠の音を表す「Towane」を合わせた私の造語それが作品の終わりない生命の悠久の時間をモノクロームの銅版画で表現する作品。見る者を幽玄の世界に引き込む不思議な魔力ある。
身の周りのありふれた出来事や見聞きする世相などを題材として、実際に見た光景や受けた感想を元にして、「流れ」を感じられる風景画の様な画面をめざしております。作品は凸版木版を油性インクで刷り、一枚の板を彫って刷り、また彫って刷ってを繰り返す「掘り進め」技法で制作
2009年全国大学版画展収蔵賞。2010年川上澄生美術館木版画大賞で大賞、第78回日本版画協会展京都展記念賞、女子美卒業制作賞、2011年やまなし県民文化祭大賞等の受賞歴。「木版画の技法を用いて心象風景を描いています。人の記憶のどこかにある、観客の数だけ見えてくるイメージがあるそんな不思議な作品を目指している。
娘は、童謡の「アイアイ」を歌うと喜ぶ。赤ちゃんがいちばんはじめに発しやすい母音。「あい」には愛、逢い、哀、間多難な世に生まれた命から見える息づく力を、「あい」からはじまる形にする。
と解説するように子供さんに対する愛情に満ちた生活の中から新しい作品が生まれてくる今日この頃である。
銅版画の腐食に興味を持ったのは大学3年生、駒井哲郎先生の集中講義の時でした。以来いろいろな幾多の作品を作ってきましたが、いまだに黒の魅力を捨てきれません。どころか、ますますモノクロームの美しさ黒という存在が気になります。何とか黒ではない世界をと思っていますが・・・
近年続けている「鯨 景」のシリーズです。滞在していた青森の島風景が私の中で次第に大きな鯨に映り、続けているシリーズです。今回は「月」という言葉と絡めて制作しました。木を彫り、バレンを使った水性木版で紙にそんな風景を刻み込めればと思っています。
“シンプルなものの中にこそ、本質的な奥深さがある”というテーマのもと、ものや風景の空気感や心象から本質的なものを表現しようと制作している。ここ数年は、白のみでの表現にこだわりながら、うっすらとそこにあるもののエネルギー、形になる前の無垢なそのものを表現している。
昔は講談社の文庫本の表紙絵を描いていましたが、現在はコミカルなリズム感あるフォルムで画面を構成したり、シャレた色彩で対象を描いたりと飽きの来ない作家です。また、贈り物作品としても人気があります。
静まり返ったモノトーンの世界に不思議な形をし古風なた器や箱が置かれ、夢の中にいるような感覚に襲われる作品群。引き込まれてやまない感傷に沈るようだ。
彫刻と版画作品を手がける延岡出身の画家。九州男児で晩からではありながら、内心は繊細な感性の持ち主です。素朴な画風で、嫌味がない。
気になる作品がございましたら
お気軽にお問合せください